家庭用は趣味のため

家庭用は趣味のため

3Dプリンタを家庭で利用する人も増えています。

プリンタ本体の低価格化が進み、入手しやすくなっていますが、今のところ、用途は趣味に限られています。

家庭に普及する?

家庭用の低価格3Dプリンタが相次いでリリースされています。

実売価格が10万円を切る製品も発売されるようになって、これまで以上に3Dプリンタが一般家庭に普及することが期待されています。

趣味を充実させる

自分で3Dモデルから作れる人や完成品を実用する気がない人にとっては、3Dプリンタは面白いツールとなるでしょう。

たとえば、世界に一つだけのオリジナルのフィギュアを作成することができますので、ホビー用と割り切れる人には充分魅力的なツールです。

ちょっと敷居が高い

家庭への普及の鍵が3Dプリンタの低価格化だとする向きもありますが、いくら安くなっても使い道がなければ誰にも見向きもされません。

いまのところ、ホビーの分野での利用ぐらいしかありません。

家庭への3Dプリンタの普及を遅らせているのは、まともに使いこなせるようになるまでの敷居が高いことです。

三次元データが必要なこと、出来上がった立体物の強度の問題が立ちはだかっています。

データを用意して

立体物を作成するには、三次元のデータ(3Dモデル)が必要です。

3Dモデルを自分で作れる人はいいのですが、それができなければ、どこからかデータを入手しなければいけません。

しかし、自分が必要とするデータが見つかるとは限りませんから、本当にほしいものを気軽に作れるというのではありません。

強度に不安

立体物の強度の問題については、家庭用として販売されている3Dプリンタでは、溶かした樹脂を1層ずつ積み重ねていく方式で立体物を作成しますので、層の継ぎ目の部分が強度的に弱くなってしまいます。

したがって、生活の中で使うような実用品の作成はできないと考えるべきです。

医療分野への応用

医療分野への応用

3Dプリンタが医療を進化させる

3Dプリンタの応用法として、>医療分野

人工骨、人工の臓器、手術前のシミュレーションにすでに3Dプリンタが利用されています。

人工の骨

3Dプリンタで人工の骨を作ると、患者さんごとに細かくデータを修正できるので、患者さんの体型にあった人工骨を作ることができます。

そのため、移植する患者さんの体の負担を減らせる点が、従来の人工骨よりすぐれた点です。

人工の臓器

技術の進歩は、3Dプリンタで人工の臓器を作るところまできています。

現在のところ、実用化されているわけではありませんが、移植する臓器や血管を3Dプリンタで作成することを目指して研究が進められています。

手術のシミュレーション

患者の手術をする前に、3Dプリンタを使って作成した患者の臓器の模型を使って手術のシミュレーションを行う取り組みがはじまっています。

臓器のどこを削ればいいのかといったことが、模型を見ながら打ち合わせをすることができるので、手術前の予行演習ができるようになります。

試作品の製造

試作品の製造

3Dプリンタで試作品を作る

3Dプリンタは製造業で試作品を作るために使われています。

コンピューター上で設計してから、3Dプリンタで立体化して、形状を実際に確認するという使い方をします。

主な用途は産業用

3Dプリンタの利用の中心は試作品の製造です。

3Dプリンタを使えば、試作品を製造するための金型を用意する必要も、そのための経費もかからないことがメリットだとされています。

精度の高いものを作るには、高価なプリンタが必要だというのが現状です。

したがって、現在の3Dプリンタの主な用途は産業用に限られるといってよいでしょう。

試作品から製品へ

試作品の製造から、いまでは製品を作るところまできています。

アメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)は、従来の製法では実現が不可能な形状のジェット機用のエンジンの部品を3Dプリンタで製造することを目指しています。

3Dスキャナー

3Dスキャナー

3Dスキャナー

3Dプリンタと名前が似ているものに、3Dスキャナーがあります。

3Dプリンタが立体物を作り出すのに対して、3Dスキャナーは立体物をデータ化することが目的の機械です。

パソコンに3Dスキャナーを接続して、データをパソコン上に保存しますので、取り込んだデータを後から自由に加工することができます。

取り扱いが難しい

3Dスキャナーは3Dプリンタほど一般に普及はしていません。

大抵の製品が高価であることに加えて、取り込んだ立体物のデータを修正する必要があることから、取り扱い自体に困難さが伴うことが問題です。

3Dスキャナーと3Dプリンタの連携

3Dスキャナーを3Dプリンタと連携させれば、データを取り込んでから立体化するところまでの一連の作業が可能となります。
連携させると、手軽に立体物の複製ができます。

もちろん、著作物を著作者の許可なく複製するのは違法ですから、自分で作ったオリジナルの立体物の複製をするようにしましょう。

熱溶解積層方式と光造形方式

熱溶解積層方式と光造形方式

3Dプリンタには二つの方式

3Dプリンタには、熱溶解積層方式と光造形方式の二つの種類があります。

熱溶解積層方式はプリンタ本体が比較的安価なため家庭用として販売されています。

光造形方式は本体が高価なため産業用として利用されています。

熱溶解積層方式

熱溶解積層方式は、「FDM(Fused deposition modeling)」と呼ばれることもあります。

この方式の3Dプリンタが家庭用として販売されています。

光造形方式よりも安価で製品化できるところに特徴があります。

熱溶解積層方式のしくみ

熱溶解積層方式では、フィラメントと呼ばれる樹脂を素材として使用します。

フィラメントとしては、ABS樹脂やPLAが使われます。

プリントの仕組みとしては、熱して液状となったフィラメントをノズルから押し出していき、押し出されたフィラメントを積み重ねて立体物を形作っていく方式です。

光造形方式

光造形方式は、紫外線で硬化する特性のある樹脂を使う方式です。

この方式のプリンタは高価になりますので、家庭用としては一般的ではありません。

光造形方式のしくみ

光造形方式では、プール状にためた樹脂にレーザーを当てることによって樹脂を硬化させ、一層ずつ立体物を作り出していきます。

3Dプリンタとは

3Dプリンタとは

3Dプリンタ?

一般的に使われている普通のプリンタが紙の上に平面的に文字をプリントするのに対して、3Dプリンタは立体的な造形物をプリントする機械のことです。

通常のプリンタが紙の上にプリントするごとく、立体物を作ってしまうので3Dプリンタと呼んでいます。

平面のことを2D(二次元)といい、立体のことを3D(三次元)といいます。

だからといって、従来のプリンタを2Dプリンタと呼ぶようなことはありません。

素材は樹脂

普通のプリンタはプリントにはインクを使いますが、3Dプリンタではインクの代わりにABSやPLAのような樹脂を使います。

樹脂熱で溶かしながら積み上げていくことで立体物を作り上げていきます。

何もないところから少しずつ立体物が出来上がっていく様は壮観です。

使い道

3Dプリンタは主に産業用に使用されており、一般の家庭に普及するまでにはまだまだというところです。

最近は、10万円を切る家庭用3Dプリンターが発売されるようになりましたが、3Dプリンタを使って何をするのか、何ができるのか、ということが一般的に認知されているわけではありません。

なんだか分からないものに手を出す人はいません。

したがって、3Dプリンタが産業用として発展していくのか、家庭を巻き込んでいくのかは今後の展開次第ということがいえます。