ものづくりに与える影響

3Dプリンタによってものづくりが大きく変わろうとしています。
従来の製造現場では、製品を作るために金属などで作られた型を作る必要がありましたが、3Dプリンタでは型の必要なく完成品を得ることができます。

金属でも作れる

立体化するための素材としては樹脂が一般的ですが、金属を素材として使用できるようにもなってきており、金属製の立体物を造形することができるまでになっています。
産業用での利用が中心でしたが、その利用も試作品の作成が中心だったこれまでから、今後は製品そのものを3Dプリンタで製作することが増えることが予想されています。

それぞれのニーズにこたえられる

これまでの製造方法で主流であった型を使った製造方法は、同じものを大量に製造することには適していましたが、3Dプリンタの場合、一人ひとりのニーズにあった商品を少量からでも製造することができるようになります。
消費者からの個別の注文に答えることができるようになるという点で、これまでは違うビジネスの形が生まれる可能性を秘めています。


プリンター産業の今後

プリンター産業の今後

3Dプリンタを成長産業に

現在の3Dプリンタの開発・製造の中心はアメリカで、出遅れた日本は2013年に政府が3Dプリンタを成長戦略の一つに設定して、今後の開発が活発になっていくことが期待されます。

具体的には、経済産業省が1014年度の予算に45億円の枠を設けて、主に産業用の3Dプリンターの開発を支援していくことになっています。

市場予測

経済産業省が2014年に発表した予測では、2020年には3Dプリンタの市場規模が1兆円になるとされています。
また、関連市場の規模を10兆円と予測しています。

アメリカの調査会社の予測によると、2020年の世界の市場規模が210億ドルに達するとされています。

犯罪に悪用されかねない

犯罪に悪用されかねない

3Dプリンタは、いわば何でも作れる機械であるため、使う人次第で社会や生活を豊かにする可能性だけでなく、犯罪を促進する危険性を持っていることを認識する必要があります。

拳銃の作成に代表されるように犯罪への悪用が懸念されています。

拳銃のほかには、中国ではATMのスキミング装置が出回っており、すでに3Dプリンタで作られたスキミング装置で抜き取ったクレジットカードのデータが悪用されています。

3Dモデルの作成が困難

3Dモデルの作成が困難

ソフトウェアが必要

3Dプリンタで立体化できるデータを自分で作ろうとしたら、3Dデータを作るためのソフトウェアが必要です。

当然、そのソフトウェアを使いこなさなければ望みどおりの3Dデータを得ることはできません。

3Dデータを作るためのソフトウェアには、3D CADや3D CGソフトがあります。

どのソフトを使うのかが問題

3D CADや3D CGソフトは、無料で使えるものや有料のものがあります。

無料のものはたいてい機能が制限されていたりしますし、有料のものは、数千円から数10万円、あるいはそれ以上の価格がします。

たくさんあるソフトウェアの中から自分にあったもの、目的にかなったものを選ぶ必要がありますが、どのソフトウェアを選べばいいかというのも大きな問題であり、3Dデータの作成ができるようになるまでの敷居が高いのも現実です。

3D CADと3D CG

3D CADは、もともと建築や機械の設計用に使われることを想定したソフトウェアです。

3D CADでは、正確な寸法のデータを作ることができますが、比較的単純な形状のデータを作るのに向いています。

3D CGは、3D CADほど正確な寸法を出すことには向いていませんが、細かい形状をした立体物(人型など)のデータの作成に向いています。

大量生産に向かない

大量生産に向かない

大量生産に向いていなかった

3Dプリンターは、立体物を作るのに時間がかかるという問題を抱えています。

そのため、3Dプリンターの主な用途である産業用の用途においっても、その利用は試作品の製造に限られていました。

試作品を作るという点では、時間の短縮が可能であっても、大量生産には向いていませんでした。

大量生産を可能にする努力が続けられている

しかし、3Dプリンタによる大量生産を可能にするため、各国で研究が進められています。

大量生産が可能になれば、部品や製品の製造にかかる時間とコストを削減することができます。

また、消費者の細かいニーズにこたえる製品を個別に製造することができるようになるというメリットもあります。

3Dデータの配布

3Dデータの配布

配布データを利用する

3Dプリンタで出力するために必要な3Dデータは、自分で作成することもできますが、配布されているものの中から利用することができます。

3Dプリンタの普及の壁になっているのが、3Dデータを自力で作ることが難しいことです。

しかし、配布されているデータを使えば、3Dデータを作ることなく、手軽に立体造形を楽しむことができます。

無料か有料か

インターネット上で公開されている3Dデータを利用するときには、そのデータが無料なのか有料なのかに注意をしなければいけません。

無料のデータは自由に使うことができますが、当然のことながら有料のデータはお金を払わなければ使用することができません。

自由に使える?

また、配布されたデータによって立体化されたものを自由に第三者に渡していいものなのか、いけないものなのかという点にも注意が必要となります。

細かい注意点は、データの配布もとの指示に従うことになります。

出力代行サービス

売れている製品

出力サービスで手軽に立体を楽しむ

3Dプリンタを買わなくても、立体物に出力してくれるサービスが開始されています。

従来のコピー感覚で、用意した3Dデータをお店に持ち込むと、お店のほうで受け取ったデータを立体化してくれますので、個人でプリンタを購入して立体化するよりもはるかに手軽に3Dプリンタを利用することができます。

データの受け渡し方法で分けると、オンラインでデータを送るサービスと店頭でデータを渡すサービスがあります。

オンラインで注文

インターネット回線を通して3Dデータを送って立体化を依頼するタイプがオンラインサービスです。

この方式の場合、店舗に出向く必要がありませんので、すべてのお店の中から、作れる立体物の品質や価格を比較しながら注文することができます。

店頭で注文

実際の店舗に3Dデータを持ち込んで立体化を依頼する方法もあります。

出力代行サービスを行っているお店が、店頭での受け渡しに対応しているかどうかを確認する必要があります。

なかには、店頭でパソコンと3Dプリンタを貸し出して、自分で直接出力することに対応しているお店もあります。

自分で体験できるところがこのタイプの魅力です。

売れている製品

売れている製品

売れている家庭用3Dプリンタの価格

家庭用3Dプリンタの価格は、10万円前後というのが相場です。

売れ筋の商品もその価格帯に集中しています。

たとえば、XYZプリンティングジャパンの1製品、アビーの2製品に人気が集まっているようです。

ダヴィンチ1.0の価格

XYZプリンティングジャパンのダヴィンチ1.0は、7万円前後の価格で売られています。

作れる立体物のサイズは最大で、200×200×200mmとなっています。

なお、XYZプリンティングは台湾のメーカーです。

SCOOVO X4とSCOOVO C170の価格

アビーのSCOOVO X4とSCOOVO C170は、どちらも15万円程度の価格で販売されています。

SCOOVO X4が作れる立体物のサイズは最大で、180×140×100mmとなっています。

SCOOVO C170が作れる立体物のサイズは最大で、175×150×150mmとなっています。

なお、アビーは日本のメーカーですが、SCOOVOはもとはオープンキューブの製品でした。

2014年にアビーとオープンキューブが経営統合を行って、アビーでの販売となっています。

お菓子が作れる

お菓子が作れる

3Dプリンタで作ったお菓子が食べられます。

形を自由に作れるだけでなく、色を自由につけることもできます。

3Dプリンタでお菓子が作れる

お菓子を作る3Dプリンタが登場してきています。

当初は砂糖だけで作られる白い塊に過ぎませんでしたが、カラフルな出来上がりになったり、チョコレートやミントといった複数の種類を組み合わせたものができるまでになっています。

砂糖を立体化

砂糖を3Dプリンタの素材として使えば、出来上がりをそのまま食べられます。

複雑な形状をした立体物を簡単に作れますので、自分だけの砂糖菓子が簡単に作れます。

砂糖に色をつけて、できあがりをカラフルにすることも可能になっています。

チョコレート!

チョコレートを3Dプリンタの素材として使うことができます。

それだけでなく、ミントやバニラなどほかの味を組み合わせた作ることもできます。

オリジナルの形をしたお菓子が手軽に作れるだけでなく、材料を組み合わせて、見た目だけでなく、味も組み合わせを考えて楽しむことができそうです。

家庭用は趣味のため

家庭用は趣味のため

3Dプリンタを家庭で利用する人も増えています。

プリンタ本体の低価格化が進み、入手しやすくなっていますが、今のところ、用途は趣味に限られています。

家庭に普及する?

家庭用の低価格3Dプリンタが相次いでリリースされています。

実売価格が10万円を切る製品も発売されるようになって、これまで以上に3Dプリンタが一般家庭に普及することが期待されています。

趣味を充実させる

自分で3Dモデルから作れる人や完成品を実用する気がない人にとっては、3Dプリンタは面白いツールとなるでしょう。

たとえば、世界に一つだけのオリジナルのフィギュアを作成することができますので、ホビー用と割り切れる人には充分魅力的なツールです。

ちょっと敷居が高い

家庭への普及の鍵が3Dプリンタの低価格化だとする向きもありますが、いくら安くなっても使い道がなければ誰にも見向きもされません。

いまのところ、ホビーの分野での利用ぐらいしかありません。

家庭への3Dプリンタの普及を遅らせているのは、まともに使いこなせるようになるまでの敷居が高いことです。

三次元データが必要なこと、出来上がった立体物の強度の問題が立ちはだかっています。

データを用意して

立体物を作成するには、三次元のデータ(3Dモデル)が必要です。

3Dモデルを自分で作れる人はいいのですが、それができなければ、どこからかデータを入手しなければいけません。

しかし、自分が必要とするデータが見つかるとは限りませんから、本当にほしいものを気軽に作れるというのではありません。

強度に不安

立体物の強度の問題については、家庭用として販売されている3Dプリンタでは、溶かした樹脂を1層ずつ積み重ねていく方式で立体物を作成しますので、層の継ぎ目の部分が強度的に弱くなってしまいます。

したがって、生活の中で使うような実用品の作成はできないと考えるべきです。

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